目次
燃料サーチャージとは?
- 燃料サーチャージとは、燃料価格の上昇や下落によって生じるコスト分を、運賃とは別に設定し、収受する料金制度です。
- 元々は、海運業界が1970年代に導入したもので、その後、航空業界や運送業界にも広がりました。
燃料サーチャージを導入しているトラック運送事業者の割合
導入している | 13.6% |
検討中 | 8.6% |
導入していたが今は導入していない | 14.2% |
導入したことがない | 63.6% |
- 「導入している」トラック運送事業者は、全体の13.6%である。
- 「導入していない」トラック運送事業者は、全体の72.8%である。
- 「検討中」「導入していたが今は導入していない」と回答した企業からは、「導入のためのルール作りが難しい」「荷主の業績が落ち込んでいるため交渉ができない」などの回答があった。
- 燃油サーチャージが浸透している航空業界とは違い、トラック運送業は中小零細企業が多く、荷主との価格交渉に至れないケースが多い。
燃料サーチャージの収受方法
ここでは、代表的な4つの収受方法について紹介します。
燃料サーチャージの収受方法に決まりはありません。
そのため、取引先に応じて収受方法を選び、交渉しましょう。
運賃別建て比例方式
計算方法
燃料価格帯を設定し、燃費、走行距離によって運賃上昇額を算出します。
燃料サーチャージに算出された運賃上昇額を上乗せします。
この方式は、国土交通省がガイドラインで示した方式になります。
実際の燃料上昇額に近い燃料サーチャージが収受できますが、計算が複雑です。
下段で計算方法を解説しています。
運賃別建て定額方式
計算方法
定額の運賃上昇額を燃料サーチャージとして設定します。
運賃込み比例方式
計算方法
燃料価格帯を設定し、燃費、走行距離によって運賃上昇額を算出します。
運賃に算出された運賃上昇額を上乗せします。
運賃込み定額方式
計算方法
運賃に定額の運賃上昇額を上乗せします。
まとめ
スクロールできます
方式 | 収受方法 | 特徴 |
---|---|---|
運賃別建て比例方式 | ・運賃とは別に収受する ・燃費、走行距離から運賃上昇額を算出する | 実際の燃料価格を反映 計算が複雑 |
運賃別建て定額方式 | ・運賃とは別に収受する ・定額の運賃上昇額を収受する | 計算が簡単 実際の燃料価格と乖離 |
運賃込み比例方式 | ・運賃として収受する ・燃費、走行距離から運賃上昇額を算出する | 実際の燃料価格を反映 計算が複雑 |
運賃込み定額方式 | ・運賃として収受する ・定額の運賃上昇額を上乗せする | 実際の燃料価格と乖離 |
燃料サーチャージの計算方法
このページでは、国土交通省がガイドラインで示した「運賃別建て比例方式」の計算方法を紹介していきます。
STEP
基準となる燃料価格を設定
まずは、基準となる燃料価格を設定します。
本ページでは、基準となる3つの燃料価格を紹介します。
自社に合った燃料価格を設定しましょう。
- 運賃の届出を行った日の燃料価格
- 荷主と契約を交わした時点の燃料価格
- 国土交通省が告示した「標準的な運賃」に示された燃料価格(=100円)
STEP
燃料サーチャージの改定条件の設定
- 燃料サーチャージを改定する場合の一定の変動幅を設定
- 変動幅の中で、その燃料価格帯における①計算上の燃料価格(価格帯の平均値など)、②計算上の燃料価格上昇額(計算上の燃料価格と基準となる燃料価格の差)を設定
STEP
車両燃費の把握
燃料サーチャージ額を決めるため、自社車両の燃費を計算します。
燃費の計算方法については、以下のページで解説しています。
トラックの平均燃費は?燃費の計算方法を解説!
車両の燃費を計算することは、運賃や燃費サーチャージを算出する際に必要となります。 また、日頃から燃費を把握することで、故障の前兆やメンテナンス時期を把握するこ…
STEP
燃料サーチャージ額の計算
距離制運賃
計算式
平均走行距離[km]÷燃費[km/L]×燃料価格上昇額[円/L]=燃料サーチャージ
具体例
148[km]÷3.7[km/L]×50[円/L]=2000円(燃料サーチャージ)
※前提条件① 燃費:3.7[km/L](大型車)
※前提条件② 走行距離:148[km](東京都→静岡県)