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燃料サーチャージ導入のポイントと導入方法を解説!

目次

1.燃料サーチャージ導入を成功させるポイントは?

  1. 自助努力
  2. 原価計算
  3. 取引先とのコミュニケーション
  4. 差別化
  5. 下請事業者と元請事業者の協力関係

1-1.自助努力

・取引先は、燃料サーチャージ導入の前提として、アイドリングストップ、経済走行の励行など、トラック運送事業者が、燃料消費量を抑える努力をどれだけしてきたかを確認します。

・また、導入に成功した事業者によっては、新たに低燃費車両を導入するなどの設備投資に踏み込んで、自助努力をアピールしています

1-2.原価計算

・原価計算は、その必要性が認識されていながら、いまだ取り組んでいない事業者が多いのも事実です。燃料サーチャージ導入に成功している事業者は、原価計算をしっかりと行っています

・自社の車両の走行距離、燃料消費量、燃費等の経費がわかっていれば燃料サーチャージは計算できますので、まずはその取組を行うことが重要です。

1-3.取引先とのコミュニケーション

・取引先に自社の窮状を理解してもらうためには、燃料サーチャージ導入や値上げの話題の時だけ取引先を訪問するのではなく、普段から何度も足を運び、パートナーとしてお互いを認めあうような付き合いを行い、信頼関係を築いておくことが重要です。また、日常の改善提案等を頻繁に行っていれば、困った時の相談にも乗ってもらいやすい状況を作り出すことができます。

・その上で、燃料サーチャージ導入の要請を行う際は、自助努力の状況、原価計算による結果等をわかりやすくまとめ、丁寧に説明しましょう。

1-4.差別化

・輸送サービスの差別化とは、他社よりも安い運賃・料金で競争することではなく、取引先に対し、自社の専門的輸送知識(ノウハウ)に基づくサービスの提供、各種認証・資格の取得や効率的な輸送に関する積極的な提案等を行うことです。数ある事業者の中から当社を選んでもらえるという強みを活かし、燃料サーチャージ導入を要請しやすい環境づくりに努めることが重要です。

1-5.下請事業者と元請事業者の協力関係

・下請事業者は、元請事業者が荷主との間で燃料サーチャージを導入できないため、コスト増分の転嫁が難しい状況が見られます。そのため、下請事業者は自ら原価計算を行い、自社の状況をしっかりと元請に伝える必要があります

・元請は、その下請の状況と自社のコスト増分を資料にまとめたうえで、荷主との間で責任をもって交渉することが求められます。

2.燃料サーチャージの導入方法は?

  1. 交渉開始前の現状把握と分析
  2. 取引先との関係強化、燃料サーチャージ導入交渉の展開
  3. 燃料サーチャージ等の転嫁方法の決定

2-1.交渉開始前の現状把握と分析

自社の現状把握

・自社の現状把握として、「十分な自助努力を行い、燃費向上、運送費用等の削減等の経営努力を実施しているか」「取引が解消された場合、事業継続にも影響するか」について確認します。

・また競合する事業者の把握にも努める一方、自社の輸送サービスがそれらの競合事業者と比べて差別化されたものか、またどうすれば差別化できるかの検討を行います

原価計算を行う

・自社の運送にかかる諸費用を計算(原価計算)し、運送事業全体、車両1台あたりの費用を把握します。車両別、ルート別、取引先別など必要に応じて計算します。

燃料高騰による影響を試算

・取引先別に車両の燃費、走行距離から「消費燃油量(ℓ)」を試算し、燃料の調達価格を踏まえ、燃料高騰による影響額を試算します。

取引先と自社の関係はどうか

・「自社が他社に比べ優れた輸送サービスを展開しており、取引先は自社から他社に切り替えないか」、「高い輸送品質や、自社にしか提供できないノウハウがあるか」、「取引先との人間関係が密接で、過去にも運賃交渉に成功した実績があるか」、「自社が運賃転嫁を言い出せば、取引先は契約解消をすぐに言い出すか」など取引先と自社の関係を分析します

2-2.取引先との関係強化、導入交渉の展開

取引先との信頼関係の構築

・担当者のほか、役員クラスの責任者も定期的に取引先を訪問し、円滑な人間関係の維持に努めることが重要です。

・日頃の無駄を省くための業務改善も積極的に提案し、信頼関係を構築することで、運賃転嫁の交渉も親身になって応じてくれる環境が形成されます。

自助努力のアピール

・取引先においても、燃料価格、資材価格等の転嫁を顧客にできないケースが多くあります。そのため、燃料サーチャージ導入交渉の際、取引先はまずトラック運送事業者自身が限界までのコスト削減努力をしているかどうか、チェックします。

・コスト削減努力を的確に示さないと、燃料サーチャージ導入が認められない可能性が高いため、輸送効率・燃費向上、人件費・役員報酬削減等、ギリギリまでのコスト削減努力をアピールすることがポイントです。

わかりやすい根拠資料の作成

・取引先別の燃料消費量、影響額を基本とし、自社のコスト削減(自助努力分)を含む運送原価と収受運賃の関係をわかりやすく示す必要があります。また、軽油価格、原油価格の推移等も同時に示すと効果的です。できるだけわかりやすい資料を作成して、示してください

2-3.燃料サーチャージ等の転嫁方法の決定

取引内容ごとに転嫁方法を導入

・全ての取引先に同じ転嫁方法を導入する必要はありません。

・取引先ごとに運送条件、契約内容が異なりますので、特性を踏まえて、取引先ごとに異なる転嫁方法を導入することが必要です

燃料サーチャージ導入以外の方法も用意

・燃料サーチャージ導入以外にも様々な燃料高騰対策があります。取引先と十分な話し合いを行い、より良い方法を決定しましょう

・基本運賃の引き上げたのほか「燃料サーチャージの導入は困難だが、付帯作業分の費用を収受できるようにした」「時間超過の追加運賃の収受を可能にした」など、基本契約の見直しに繋がった例もあります。

決定した転嫁方法の書面化

・燃料サーチャージの導入等、転嫁方法が決定した場合には、運輸局への届出書のほか、取引先との間で具体的な内容を契約書、運賃および料金の覚書等により書面化をしましょう。

・燃料価格が下落した時の対応を詳細に書面に示し、取引先から一方的に運賃を引き下げられない対策が必要です。取引先が書面を作成してくれない場合には、トラック運送事業者側で合意書面を作成し、署名、押印してもらうよう働きかけましょう

3.燃料サーチャージの導入後の手続き

・燃料サーチャージは、新しく設定する別建の料金制度となるため、設定後30日以内に所轄の地方運輸支局へ届け出なければなりません。運賃料金設定届出書は事後報告になりますので、忘れずに届出をしておきましょう。

一般貨物自動車運送事業者、特定貨物自動車運送事業者および貨物軽自動車運送事業者は、運賃および料金を定めまたは変更したときは、運賃および料金の設定または変更後30日以内に、次の各号に掲げる事項を記載した運賃料金設定(変更)届出書を、一般貨物自動車運送事業および特定貨物自動車運送事業者に係るものにあっては所轄地方運輸局長に、貨物軽自動車運送事業に係るものにあってはその主たる事務所の所在地を管轄する運輸管理部長または運輸支局長に、それぞれ提出しなければならない。

貨物自動車運送事業報告規則 第2条の2(運賃および料金の届出)
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